刀で闘うという行為そのものが命を落としたり、人体を損なったり、まことに恐ろしいことである、という前提をまずきっちり押さえたうえで、続々と剣士が登場。ある種の狂気すら漂う各人の描写があり、次々と決闘場面が叩き込まれる、その殺気が凄まじい。一冊の本としては分厚いが、見せ場が多く、エピソードも面白い。特に終盤の求心力はなかなかで一気に読ませる。むしろコンパクトにまとまっていると言えるし、かといって不足も無し。チャンバラ小説が読みたい、と思って読んでみたらこれはチャンバラとは別のもの。夢枕獏流の堂々たる「剣豪小説」、最後の土方のセリフにシビれた。獏さんのこういう、登場人物にカッコいいセリフをさらっと言わせるところ、本当に好きです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
格闘技
- 感想投稿日 : 2020年2月13日
- 読了日 : 2020年2月19日
- 本棚登録日 : 2020年1月23日
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