輝く日の宮 (文芸第一ピース)

著者 :
  • 講談社 (2003年6月10日発売)
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本棚登録 : 123
感想 : 29
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源氏物語、奥の細道、そして泉鏡花、・・・。妙齢の女流文学者を主人公とした現代小説を通して、古典の魅力を感じさせてくれます。やや理屈が勝ち過ぎのきらいはあります。なぜ芭蕉は東北へ旅したのか、をヒロインが語る演説はなるほどと思わせる内容でした。(つまり義経の500年祭の行われた直後に平泉を訪問している意味)失われたという謎の「輝く日の宮」巻が実在したのか?ヒロインの杉真佐子と他の論争など興味深く読むとともに、初めは泉鏡花ばり文体による新左翼学生の幽霊と女学生の遭遇を語った小説内小説、最後は紫式部と道長のやりとりから、何故「輝く日の宮」が失われたのかを推測する小説内小説で終わるという構成など変化に富んでおり、類をみないほどの凄い本だという印象です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2013年8月24日
読了日 : 2003年10月15日
本棚登録日 : 2013年8月24日

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