物理学と神 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2019年2月9日発売)
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本棚登録 : 170
感想 : 6
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物理学が神との闘いであったことを、無神論者であると自称する著者がここまで熱心に主張することに非常に興味を感じた。アインシュタインが定常宇宙を主張した誤りが宇宙の永遠性を主張することから来たと言いながら、ホイルが揶揄するために使った用語である「ビッグバン」の理論が逆に聖書の記載通りであることを証明してしまったということは、無神論者でも興味深かったのだと思う。最初にトマス・アクィナスが聖書を字句通りに解釈することから解き放つことにより、アリストテレスの天動説から教会を自由にしたにもかかわらず、ガリレイ時代の教会はそれを忘れていた!という皮肉も面白い。そして教会の中から神に一番近いコペルニクスが地動説を唱えた。それは神が造った宇宙は複雑であるはずがないとの信念から導きだされたそうだ。無限の恒星が輝いているはずの夜がなぜ暗いのかという謎の解明までが登場し、非常に楽しい読み物でもあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然科学
感想投稿日 : 2020年12月3日
読了日 : 2020年12月1日
本棚登録日 : 2020年11月20日

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