胃カメラを発明するまでの東大の宇治医師、及びオリンパスの深海社員など2人の社員の苦闘をドキュメンタリーに記録した小説は限界に挑戦する男たちのドラマであり、正にNHKのプロジェクトXを見るような思いがします。食道を通すゴム管、極小なレンズ、小さなカメラと極限を追求し、その次は胃の内壁とカメラの距離を一定に保つための工夫がなんとコンドーム。そしてカメラが胃のどの患部を撮影しているかをどうして掴むかなどの難しいテーマが次々と襲ってきますが、偶然にも救われたことが分かります。深海社員を仮名の曽根という人物にして箱根の旅館の跡取りでありながら、若い妻に女将として旅館経営を任せ、仕事に忙殺されるというフィクションであることが最後に明かされますが、研究と妻とのプライベートな生活の往復描写がこの本のアクセントも高めてくれています。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2013年8月16日
- 読了日 : 2008年4月21日
- 本棚登録日 : 2013年8月16日
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