世界の歴史 (14) (中公文庫 S 22-14)

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  • 中央公論新社 (2009年2月25日発売)
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感想 : 11

全く馴染みのなかった歴史です。現在のインドはBRICSと呼ばれ、大国への飛躍が期待されていますし、常任理事国入りも有望です。その一方で、インドについては悠久の時代から変わらない遅れた国のイメージが強かったのですが、なかなかどうして、18世紀にはすでに社会改革の運動、女性解放の動きがあったというのです。大変な奥の深い国を感じます。そしていつからインドでは仏教が姿を消したのか?インドとパキスタンの分離に見るイスラムとヒンズーの対立の背景も興味深いものがありました。ムガールはイスラム帝国だったわけですが、インドという広い国が現代まで決して一つではなかったことが改めて分かります。それはイギリス領だったときも首長国による間接統治を多く残し、直轄植民地は一部にしていたイギリス。ポルトガルとオランダの狭間にあったイギリスがインドを徐々に制覇し、世界中での戦争と同様、フランス勢力をどうして破ることができたのか。文字は読めないが英君だった初代皇帝アクバル。タージマハールを亡き妻のために作り、毎日詠嘆とともに眺めていたというシャー・ジャハーン、その息子で権力欲がないことを装い、3人の兄弟を倒して次の皇帝に就任したアウランゼーブなどが印象に残ります。名君だったトルコ人奴隷王朝の女性国王ラズィーヤ、イギリスと勇敢に戦い戦士した王妃など、インドが以前から女性がかったことが、女性首相(インド・ガンジー、パキスタン・ブット、スリランカ・バンダラナイケ)などに繋がることを知りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 東洋史
感想投稿日 : 2013年8月24日
読了日 : 2004年12月9日
本棚登録日 : 2013年8月24日

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