夜と女と毛沢東

  • 文藝春秋 (1997年6月1日発売)
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感想 : 6

2人の巨人の話し合いが楽しい。過激、歯に衣を着せず痛快。「女」の章はほとんど猥談のような部分も。吉本が今では保守派に受け入れれる存在だったとの辺見の言葉を否定しない吉本に歴史の流れを感じた。吉本の毛への厳しい姿勢は文革の頃から一貫していたのだ!知らなかった。「夜」が無くなったのは、文字通りの暗闇が無くなっただけでなく、陰影のある人物が減った、ドラマがなくなったということでもある。中国から帰国した共産党の伊藤律の顔の業の深さの表現が出てくる。レーニンや毛沢東の俗人ぶりを2人が話している姿を見ると、実際にそうだったと思い知る。その俗人であるが故の大人物性というのは今でこそよく分かる。連合赤軍、オウムの異常性を追及するマスコミ、そして一般人が、ではあの時地下鉄で果たして傍観者ではなく、救助をしたのか!素通りした一般人が「事後に安全な場所で、オウムを怨み極刑にせよと叫ぶ!」。この批判は恐ろしく根源的。吉本や宗教学者の島田裕巳がオウムに擁護的として批判されたことへの批判はマスコミの底の浅さを感じさせられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代社会
感想投稿日 : 2016年1月27日
読了日 : 2016年1月23日
本棚登録日 : 2016年1月20日

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