日本国憲法の二〇〇日 (文春文庫)

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レビュー : 9
著者 :
koochannさん 現代史   読み終わった 

イラクへの米国駐在が問題視されている現在の状況と比較し、米国の日本統治がいかに成功したのかを感じるのですが、やはりマッカーサーの高い理想があったと思います。9月2日のミズーリ号での降伏調印式の際、僅か3分の演説の格調の高さに日本の間外交官加瀬俊一氏(今年5月末に101歳で死去)は感動したといいます。「地球上の大多数の国民を代表して集まったわれらは不信と悪意と憎悪の精神を懐いて会合したのではない。過去の出血と殺戮の中から、信仰と理解に基礎づけられた世界がまた人類の威厳とその抱懐する希望のために捧げられるよりよき世界が、自由と寛容と正義のもとに生まれ出んことを。それは私が熱望するところであり、また全人類の願いである。」現在のブッシュ大統領との理想の高さの違いに気がつきます。そして現在の憲法の理想の高さにマッカーサー自身は非常に感激していたそうです。戦争が終わったときに14歳の中学生であった著者が感じたことを随所に挟みながら、8月から翌年2月までの200日間を単なる歴史だけではなく、当時の日本の少年がどのような敗戦とその後の日本社会を醒めた目で見ていたのかがくっきり分かる好著です。マッカーサー・天皇会談が実現した背景なども興味深い記述でした。日本国憲法が米国の押付けだという議論はかねてから声高に叫ばれるのですが、天皇自身が戦争終結に続く2度目の聖断により「主権在民・象徴天皇・平和主義」を柱とする基本方針を受容れ、松本国務大臣などが執筆したという、そして天皇の勅令により公布したとのことがその議論の根拠のなさを指摘しています。押付け論は何が押付けということなのか、その本質が見えるように思われます。醒めた目で見ていた著者が一方で憲法の理想主義への熱い思いを持ってきたことが迫ってきます。

レビュー投稿日
2013年8月24日
読了日
2004年5月31日
本棚登録日
2013年8月15日
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