戦争が遺したもの

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レビュー : 22
koochannさん 評論   読み終わった 

小熊氏の著書は若手ながら、いつも戦後の文化人たちの深いレベルでの思想を体系的に追って説明してくれており、テーマの難解さにも関わらず、分かり易く理解しながら読むことができます。この本では、上野という1世代上の編集者と2人で、更にその上の世代の鶴見俊輔へのインタビューによる3者鼎談ですが、鶴見という人の個性が大変ヴィヴィッドに語られて素晴らしく楽しい本でした。鶴見が不良少年で、小学校しか出ずにハーバード大を出たというところまでの、何でも一番病だったという父・祐輔への反発がずっと成功してからも続くというのは、この人のべ平連などのバックボーンにつながっていることが良く分かりました。兎に角、この人は破天荒で面白いエピソードだらけ。15歳までに女性との放蕩をし尽くして、米国に渡ってからは全く女性を見ても反応しないように自分を創ってしまったというのは凄い話です。尊敬していた竹内好が東京工大を退職したことを知り、翌日追って東京都立大に辞表を提出したという逸話も楽しいです。鬱病になりながら桑原武夫によって京都大に留まることが出来たということも。その他、姉・和子、羽仁進、丸山眞男、清水徹太郎、西部邁、吉本隆明らの行動レベルから見た人間性と思想の説明も楽しいです。15年戦争が彼らの思想にいかに影響を与えているのか、そして60年安保も僅か15年後だった。そして70年前後の全共闘などの背景に迫る説明はその時代を生きた私にとっては大変新鮮です。

レビュー投稿日
2013年8月17日
読了日
2010年1月24日
本棚登録日
2013年8月17日
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