斜めから見る―大衆文化を通してラカン理論へ

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レビュー : 12
制作 : Slavoj Zizek  鈴木 晶 
kookamotoさん 哲学   読み終わった 

哲学書なので何度も読み返すべきなのだろうが、文体的に一気に読んでしまう方が理解できるような気がした。理屈は大事だけど、感じることがより重要である気にさせる文体だったので。
平和な風景に張り付く”染み”の概念等がとてもわかりやすく解説してあり、なるほどなと、思わされる。他にも、中心が空無であっても回り続けるモダニズムというシステムへの批判や、主体が空無であるからこそ逆説的にそこに任意の内容を詰め込んで表象するアイデンティティポリティックスの起源など、人類学の視点からみても頷ける内容が盛りだくさんだ。イデオロギーとは失敗を考慮しながら駆動するシステムである。これは秀逸だ。社会とは人が振る舞うように振る舞う(存在する)というジョン・サールの言葉を思い出す。植民地支配から脱却しようとした時に、被植民地の人々が行ったことや、昨今声高に叫ばれる”美しい日本”や”クールジャパン”などのデフォルメされた文化表象も大方この図式で説明がつく。弱者が立場を得るために、戦略的にアイデンティティポリティックスを選び取ったり、文化を任意に創造したりすることを”政治的正しさ”といって看過するしかない現状、ジジェクはどう考えるのだろうか??
それもまた幻想に過ぎないと一笑に付すのであろうか。しかし、冷笑家の内実は、実はかつては希望を抱いた志士であるのではないかと疑わずにはいられない。それもまた、私が彼という記号に任意に与えてしまった幻想なのかもしれないが。

レビュー投稿日
2012年12月27日
読了日
2012年12月27日
本棚登録日
2012年12月27日
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