ツアンポー川はチベット高原を横断し、インドへ流れ込む、長さ2900キロに及ぶアジア有数の大河。この川の9月の平均水量は4000トン。激流として有名なコロラド川2倍。この川がヒマラヤを刻み、作り出しているのがツアンポー峡谷。
そこには、「空白の5マイル」と呼ばれる未踏の地が存在する。
この地球上に「空白」があるということだけでもワクワクする。本書はこの5マイルに命を賭けて挑む著者渾身の探検記。
本の構成としては、著者自身の探検とツアンポー峡谷の探検史を交互に展開させている。巻末には参考文献として、多くの書名が並び、探検史だけでも、一流。これにより、ツアンポー峡谷の素性を読者は把握でき、「空白の5マイル」にまつわる魅力を知ることができる。
十数メートルの滑落、新しい洞窟の発見、大雪の中でのビバーク、1日の摂取カロリーを1000キロカロリーと決めても減ってゆく食料、ダニの攻撃、死への恐怖が、朝日新聞元記者の非凡な筆力で綴られてゆく。
面白いノンフィクションではあるが、著者のかっこよすぎる表現が少々肌に合わず、★4つとした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
旅行
- 感想投稿日 : 2014年9月20日
- 読了日 : 2014年9月20日
- 本棚登録日 : 2014年9月20日
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