日本近代史 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2014年1月10日発売)
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感想 : 9
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新書版にしては、量、内容ともに充実した日本近代政治史。

1850年の公武合体から1940年の大政翼賛会までを「改革」「革命」「建設」「運用」「再編」「危機」「崩壊」の6段階に分けて、それぞれの時代の相互関係を分析している。
乱暴に要約してしまい恐縮だが、どの段階にも中心となる人物あるいはグループがいて、彼らが消滅してしまったときに「崩壊」の時代に突入してしまったというのが本書の結論。例えば、日本の近代史上唯一成功した革命である「明治維新」には、推進者として西郷隆盛がいた。昭和に入り、国家指導者が脆弱化して機能しなくなったとき、政治界は四分五裂の状態となり、1937年の盧溝橋事件を発端に、泥沼の日中戦争に突入する。
そして、筆者は3月11日に始まる国難は日中戦争の始まった1937年に近く見えるとし、四分五裂した小物指導者の下では、復旧も復興も望み薄であると断言する。
国難が始まり3年半。安倍首相が指導者と評価されるのか、あるいは四分五裂したままで終わるのかは、歴史が判断するだろうが、個人的には現在の日中関係に不安を感じている。

非常に読み応えのある本である。キンドルで購入し、主に乗り物の中で読んだが、できれば書店で買って赤鉛筆を使いながら読みたい本。
電子書籍は暗いところでも読めて便利ではあるが、本の匂いも懐かしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2014年6月29日
読了日 : 2014年6月29日
本棚登録日 : 2014年6月29日

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