「シベリア抑留」についての本を読むたびに、国家的悲劇という思いを持っていたが、本書はこの事案をよくわかりやすくまとめてあると感じた。
本書を読むと、当時のソ連のあまりにもあくどい国家戦略と日本の国家的過ちがよくわかる。
「第一義的にはソ連に最大の非がある」という事実と、「明治以降の日本の大陸侵略政策の破産が関東軍将兵らのシベリア抑留につながった」という経緯や、終戦時の対ソ交渉時の経緯を読むと、当時の日本の政治指導部がいかに愚かであったのかと痛感する思いがした。
そして戦後の日本政府の保証問題についての対応と旧西ドイツ政府の対応である。あまりにも日本政府の対応はひどい。
なぜこうも両国の「戦後処理」に差があるのだろうか。これは日本の民族性というよりは、この戦争に対する両国の戦後の認識に差があるからなのかもしれないと感じた。
本書を読んで、あまりにも重い歴史的事実に立ちすくむ思いとともに、日本政府の戦後処理の誤りは今も続いているのではないのかとの感想も持った。
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- 感想投稿日 : 2012年5月21日
- 読了日 : 2012年5月21日
- 本棚登録日 : 2012年5月21日
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