化物蠟燭

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2019年7月5日発売)
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本棚登録 : 203
感想 : 41
5

久しぶりに読んだ木内昇さん。江戸の職人の言い回し、大店の旦那の言い分、使用人たちの心の裡。それぞれの言葉が語りかけ、たちまち江戸の市井に引き込まれます。
「よこまち余話」でも不思議な世界を垣間見せてくれましたが、ここではこの世とあの世の境目が繋がります。未練を残してこの世を去らなければならなかった人たちの悲哀が、願いが、今生きている人と交わる時、今に生きる人たちが、一歩前に踏み出します。

どのお話も染み渡る読後感でしたが、西の薬師、寡黙だが腕の確かな豆腐屋のお由、柄が大きいが心優しいお庸、自分の心許なさを威勢のいい言葉で隠してきたお冴。女たちの姿が印象的でした。

一つだけ、違和感のあるお話を紛れ込ませてくるのも、巧妙のうちでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 木内 昇
感想投稿日 : 2021年4月8日
読了日 : 2021年4月6日
本棚登録日 : 2021年4月8日

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