『夜の写本師」は、衝撃的なダークファンタジーだった。その後のオーリエラントの魔導士たちの活躍は、これまでの本に描かれているが、これはその後のすべての歴史につながる、いちばん初めの物語になっている。主人公は3人の少年と少女だし、それぞれが運命に導かれて冒険する内容なので、ジュブナイル小説といえそう。国や魔導士によって違う、呪術のあり方の違いも描かれる。
このシリーズの中でも、とても読みやすくてわかりやすい。ボリュームもあり、読み応えもある。シリーズを知らなくても、単独で楽しめる。
このシリーズを読みたい人は巻末の年表が参考になる。
ただ、久遠の島がそう簡単に・・・(ネタバレ)というあっけなさはどうしたことか。
ここでは特に、写本についての技術的な描写が印象的だった。写本師の腕前だけでなく、それにつながるインクを作る職人、羊皮紙を作る職人、それぞれの工房の様子など。中世のヨーロッパでは本当にこうした写本が行われていたのだろうと思わせるリアリティが、物語のなかで光っていた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説・浮き世から離れて
- 感想投稿日 : 2022年1月17日
- 読了日 : 2022年1月14日
- 本棚登録日 : 2022年1月17日
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