確かに本書が指摘するとおり、ダ•ヴィンチの<最後の晩餐>に描かれたヨハネは、彼が描く聖女たちと同じ顔立ちをしている。
男たちの群像の中にそっと女性の顔を忍び込ませる手法を、我々は日本の近代絵画で持っている。
青木繁の傑作<海の幸>だ。
<海の幸>では、赤銅色の漁師たちに混じって、こちらに視線を向ける色白の顔は、青木の恋人の似姿だ。
青木の絵が、<最後の晩餐>の影響を受けていると聞いたことはないが、青木繁は、<最後の晩餐>に触発されて、<海の幸>で実践したのではないか。
キリスト教にとって、マリア信仰は諸刃の刃だった。
だから、保護されつつも弾圧される運命にあった。
比較するのもどうかと思うが、「薔薇の名前」の奥深さには到底及ばない。
ということで、星二つ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2024年6月2日
- 読了日 : 2022年12月17日
- 本棚登録日 : 2022年12月17日
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