2020年代の想像力 文化時評アーカイブス2021―23 (ハヤカワ新書 011)

  • 早川書房 (2023年8月22日発売)
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__しかし、もはや読者/観客の多くは、作品そのもの(虚構)ではなく、作品についてのコミニュケーション(現実)に関心の重心がある。作品の表現よりも、作家の人生に関心があるし、他のみんなが褒めている/貶しているものに、自分がのるかそるか、どちらにすればポイントが稼げるかという現実に興味がある。


__私たちは、虚構だからこそ描き出せるものに触れることで、はじめて現実に対して適切に対抗(対応)し得る。その確信がなければ、虚構とはただのサプリメントに過ぎない。しかしそうではない、と信じる力が虚構の側に立ち、ものを書くことを可能にしているのだ。





虚構をサプリメントで終わらせないために、虚構に乗り切りたい。それは結果的に現実に立ち向かうことでもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年1月8日
読了日 : 2024年1月8日
本棚登録日 : 2024年1月8日

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