ナミヤ雑貨店の奇蹟

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本棚登録 : 9348
レビュー : 1463
著者 :
koshoujiさん 東野 圭吾   読み終わった 

東野圭吾、奧が深かった───心に優しい小説でした。

単なるミステリーではない。推理小説でもない。謎解きでもない。
『ガリレオ』シリーズから入った私は、彼はてっきり、科学系のミステリーが得意なのだと思っていた。
もちろん、人物描写、心理描写、世界観など、単なるミステリーとしては片付けられない側面を持っているのは薄々感じていたが。
それにしてもこの作品は、帯に『一か八かの賭けだった』とあるように、誰も死なない、謎解きでもない東野圭吾作品ということで、彼自身どんなものかと半信半疑だったのではなかろうか。

でも、東野先生。心に響いてきましたよ、この作品。
貴方が本当に書きたいのはこういった作風の小説なのではないかと思いました。

優しさ、愛情、希望など、人の心底にある本当のモノについて、時空を超え、牛乳箱での手紙のやり取りを通しながら、何が正しいのかを懸命に模索する。
正解などどこにもないのだが、その助言を与えてくれるナミヤ雑貨店。

浪矢さんは、回答を送った後、みんなに訊ねる。
「その回答は、貴方の人生にとってどうでしたか。役に立ったでしょうか。」と。
私なら浪矢さんにこう答える。
「みんな、あなたの誠実な回答のおかげで、幸せな人生を送ることができました。ありがとう浪矢さん。いつまでも天国で見守っていてください。暁子さんと一緒に」と。

東野圭吾氏の小説でこれほど泣かされるとは思っていなかった。
あらためて、東野氏の懐の深さに驚くとともに、こんな素晴らしい小説を送り出してくれた氏に感謝。
これからもご活躍をお祈りいたします。

あ、そうそう。最後三人が真っ当に生きていこうとする姿は『流星の絆』のラストを思い出しました

:発売開始後二週間で図書館から借りられた私は幸せ者だ。今日、書店で平積みになっていた本の奥付を見たら、4月7日再販となっていた。いやはや、東野圭吾人気はすごい。
彼には、出版不況など“どこ吹く風”といったところでしょうか。

(追記)一点だけ、気になることがあった。
というのは、この作品の著者が東野氏ではなく、名の知られていない若い作家だったら、みなさん、どんな感想をお持ちになったのだろうか、ということ。
私自身も、読み始める前から『東野圭吾』という名前が常に脳裏にあるので、「こんな作品も書けるんだなあ」と思いながら読み進めたが、著者が誰か知らずに読んでいたら、やや思いは違うのかもしれないな、と。
本来、小説は独立した一作品として語るべきで、著者と関連付けて語るべきではないのだけれど……。

レビュー投稿日
2012年4月21日
読了日
2012年4月21日
本棚登録日
2012年4月21日
5
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『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のレビューへのコメント

まろんさん (2012年6月2日)

こんばんは。まろんです。
たくさん花丸つけていただいて、
しかもフォローまでしていただいて、ありがとうございます!

koshoujiさんのことは、以前「幸福な食卓」にコメントをいただいてからとても気になっていて
こっそりレビューを読ませていただいたりしてたので、感激です♪

いつもとても密度の濃い、思索的なレビューを書かれるので、
私なんかがフォローしてもいいのかな。。、
隠れファンでいようかな。。。
などと逡巡してました(笑)

東野圭吾さんは、私にとっては、
すごく好きな作品と、あんまり好きになれない作品といつもくっきり分かれてしまうので、
この本も読もうかどうしようか迷っていました。

(「流星の絆」とか「秘密」とかは大好きな作品です)

でも、koshoujiさんのレビューを読んで、よし!絶対読むぞー♪と弾みがつきました。
ありがとうございます。

これからも想いのこもった素敵なレビューを楽しみにしています(*^_^*)

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