ラブソファに、ひとり

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年5月31日発売)
3.09
  • (6)
  • (41)
  • (99)
  • (23)
  • (7)
本棚登録 : 481
感想 : 83
3

ラブソファに、ひとり──はさすがに寂しいよね。だから誰かと、という恋愛小説集。

これまた軽い短編集である。
初出のほとんどが、文庫のPRブックだったりと、お金を払わなくてもよい読み物に書かれたものだから(冒頭の「ラブソファに、ひとり」だけは書き下ろし)、すべて軽いタッチで、すんなり読みきれる。
内容は、都会の男女の軽い恋愛模様。

*唯一「ハート・オブ・ゴールド」だけは恋バナ感が薄い。そして、この作品が最も良い出来と思えるのは皮肉なものだ。

でも男女の恋愛観や結婚観などをモチーフに、この短さとしては心情をうまく描写し書き切っている。
こういう洒落た短編は石田衣良の独壇場なのかもしれない。
まるでエッセイを読んでいるようだ。
街の風景や料理やファッションなどもさりげなく描かれ、エッセンスとして散りばめられている。
それでも、電車に乗りながら合間に読めるような内容なので、とりたてて「うーむ」と唸るとか、
「さすがの表現だ!」とか感心するほどのものではない。
毒にも薬にもならない、読み流せる短編集と言ってしまっては言いすぎか。
もちろん、一編一編、手抜きはなく、この短さにしては話としてキラリと光る部分も随所にあるが。
魂を揺さぶるような小説をこれに求めるのは無理というものだろう。
もちろん、作者本人もそんなつもりでは書いてないだろうが。
時間つぶしの一冊と言ったところか。
やはり短編の秀逸さでは吉田修一のほうが一歩も二歩も上のように思う。
書いている路線自体が異なるのだから、比較するのも無謀かもしれないが。

ここのところ、新作を読んで心の底から満足できる本になかなか出合えない気がする。
最近、発売のずいぶん前に図書館に予約を入れられるようになったおかげで、4月頃から多くの作家の新作を立て続けに読んだのにもかかわらず、満足できたのは、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」と湊かなえ「サファイヤ」有川浩「三匹のおっさん ふたたび」瀬尾まいこ「ぼくらのご飯は明日で待ってる」ぐらいかなあ。
出版不況で、作家がとりあえず書き散らしているというわけでもあるまいが……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 石田 衣良
感想投稿日 : 2012年7月21日
読了日 : 2012年7月19日
本棚登録日 : 2012年7月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする