夏服パースペクティヴ

  • 角川書店 (2012年10月31日発売)
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感想 : 71
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この作者とは相性が良いのか悪いのか、全く分からなくて困る。
前作「消失グラデーション」は、こそばゆい違和感を覚えながら読み続け、最後の最後でトリックが明かされ、おおっ、と思わず唸ってしまったのだが。
今回も同様の違和感を覚えながら読み進めたが、何とも冗長すぎる。
450Pほどある、かなりの長篇で、イントロの部分から説明が多い。無駄な描写が多い。

このエピソードは物語上必要なのか? ミステリー上の伏線としてどうしても必要なのか? 最後で何か意味を持ってくるのか? と疑問を持たざるを得ないようなシーンが延々と続く。
初見の作家だったら、もうとっくに本を放り投げている。
つまらん、読み進める気がしないってね。

ただ、前作のことがあったので、苦労しながらも1/3の150P過ぎまではこらえた。耐えた。
だけど、もうだめ、辛すぎる。誰がって? わたしが。
面白いと思うような世界に全然入り込めない。
150Pの前半部分なんて、ぎゅっと圧縮して50Pほどでよかったのじゃないか? と思ってしまう。
どこで物語が佳境に入るのかまで興味が続かなかった。
よって、160Pで断念。残念。

長沢樹殿、もう少し何とかならんかったのかね、この前半部分。
単に高校生を交えての映画作りのストーリーが続くだけ。
面白そうな展開もないし、後半の殺人部分で大きな意味を持つのかもしれないが、幽霊話に本気で怖いなんていう女子高生に至っては、辟易するばかりだ。
あーあ、小説全体の構成をもうちっとでいいから考えて作品を書いてほしいものだ。
また、最後まで読まずにレビューでこきおろしてしまった。
まことに、あいすみません。
でも、先を読みたいと思うようでなければ良い小説とは言えないでしょう、当然。
宮部みゆきや高村薫や横山秀夫ら大御所たちの重厚なサスペンスミステリーを間に挟んで比べて読むと、やはりデビュー仕立ての作家の作品には何かしら瑕疵があることが気になって仕方がないなあ、とあらためて思った。

この著者、年齢も性別もまだ明らかにされていないのだけど。
女性のような気がするなあ、三十代くらいの。
それとも、20代の若い男の子か?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 長沢 樹
感想投稿日 : 2013年2月14日
読了日 : 2013年2月14日
本棚登録日 : 2013年2月6日

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