世界地図の下書き

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本棚登録 : 2470
レビュー : 395
著者 :
koshoujiさん 朝井 リョウ   読み終わった 

朝井リョウ、直木賞受賞後第一作。
といっても「小説すばる」で連載が始まったのは2012年11月号からなので、厳密には時期が被っているのだが。

舞台は児童養護施設。
その中で暮らす5人の子どもたち。
序章として、三年前、一番大きな女子が中三、最も小さい子が小学一年生という時代に起こったある出来事から物語は始まる。
先日放送された「情熱大陸」だったか、何かの雑誌のインタビューだったか、朝井リョウ君が「いじめの問題を書きたい。逃げる選択肢もあるんだよ、と」と語ったのを覚えているのだが、それをテーマにしたかったらしい。
「いじめ」の話というと全体のトーンが暗くなりがちだが、そこはさすがに作者である。
真っ直ぐな話というよりは、五人の関係を複雑に絡ませ、少しオブラートで包みながら話は進行していく。
時折語られる独特の比喩も相変わらず見事だ。

時を経れば、施設を出てみんな離れ離れになる。
大切な仲間を失おうとしている。
でも、こんな素晴らしいことが自分達だけでできるのだから、独りになっても、みんな強く生きていけるはずだ、新しい仲間ができるはずだ、と将来に希望を持たせる。

ラストシーンは、やはり涙が零れた。特に幼い麻利の健気さに胸を打たれる。
彼の作品で泣いたのはもう何度目になるだろう。
どうしてこれほど素敵な物語が創れるのだろう。
彼の才能は底知れないというか、引き出しは無限にありそうだ。
朝井リョウファンならずともオススメの一冊です。

レビュー投稿日
2013年7月22日
読了日
2013年7月19日
本棚登録日
2013年7月15日
14
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