幸せの条件

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本棚登録 : 928
レビュー : 165
著者 :
koshoujiさん 誉田 哲也    読み終わった 

東京日暮里にある理化学実験ガラスの専門メーカーの社長が、エネルギー問題を解決するためのバイオエタノール技術を開発したことから、その技術を応用した機械を活用するために、うだつのあがらない主人公である24歳の若い女性社員瀬野梢恵が、無理矢理信州の農家に再生原料となる米の作付け農家を探しに行かせられ、農家の了承を得られるまでそこの農作業を手伝わされるという、途方もない話で始まるのだが、これがなかなか面白い。
バイオエタノールから日本の食糧事情、エネルギー問題など、会話に説明口調が多く、物語りに入りにくい印象はあるが、説明も分かりやすく、出てくるキャラクターもそれぞれ魅力的なので、すんなり読め進められる。
途中、梢恵は3.11の東日本大震災に遭遇することで、農業は日本の根幹を成していることに気付かされ、それまで後ろ向きな考え方でいやいややっていた農業や与えられた仕事に、次第に一生懸命に取り組んでいくようになる。
それを支える信州の農家の人たちの日常や個性が興味深い。
日本のエネルギー問題、食糧事情や農家の実態を分かりやすく解説してくれるとともに、最終テーマとして、人間が生きていく上で本当の幸せ、生きがいとは何かを考えさせてくれる。
何事につけ自信のない主人公のどんくさいキャラも親近感があり、優しさを感じさせる。
著者の「世界で一番長い写真」を読み終えたときと同様、爽やかな読後感だった。
是非ご一読を。

追記:農業関係の本を読むのは、あの本以来だったせいなのか、小学四年生のとき、課題図書で読んだ後藤竜二作「天使で大地はいっぱいだ」を思い出しました。今でも書棚にあります。
大学入学後、お知り合いになり、引越しのお手伝いもさせていただいた後藤さん、一昨年お亡くなりになったのですね。合掌。

レビュー投稿日
2012年10月12日
読了日
2012年10月11日
本棚登録日
2012年10月2日
2
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