信じる、信じない。
信じたい、でも信じられない。
他人を信じられなくなり、大切なものを失うことになる人間。
最後まで信じ切ることで、失いかけたものを手放さずに済んだ人々。
「怒り」は、犯罪を起こす要因にもなるし、他人を守る衝動を突き動かすことにもなる。
八王子夫婦殺害事件の犯人逮捕に向かって警察が迫り来る直前、思わぬ形で新たな事件が引き起こされる。
それは彼にとって、必然だったのか、それとも偶然だったのか。
三つのストーリーは最後まで交差することはないのだけれど、それぞれの人の持つ感情の揺れ具合は似ている。
ただし、どこまで人を信じ切れるか、その思いの強弱が、切ない終わりを迎えるか、幸せな結末を迎えるかの分岐点になる。
吉田修一の作品の中では、「悪人」に近い内容のものだと思うが、最後まで面白く読めた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
吉田 修一
- 感想投稿日 : 2014年2月24日
- 読了日 : 2014年2月7日
- 本棚登録日 : 2014年2月6日
みんなの感想をみる