怒り(下)

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  • 中央公論新社 (2014年1月24日発売)
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信じる、信じない。
信じたい、でも信じられない。

他人を信じられなくなり、大切なものを失うことになる人間。
最後まで信じ切ることで、失いかけたものを手放さずに済んだ人々。
「怒り」は、犯罪を起こす要因にもなるし、他人を守る衝動を突き動かすことにもなる。

八王子夫婦殺害事件の犯人逮捕に向かって警察が迫り来る直前、思わぬ形で新たな事件が引き起こされる。
それは彼にとって、必然だったのか、それとも偶然だったのか。

三つのストーリーは最後まで交差することはないのだけれど、それぞれの人の持つ感情の揺れ具合は似ている。
ただし、どこまで人を信じ切れるか、その思いの強弱が、切ない終わりを迎えるか、幸せな結末を迎えるかの分岐点になる。

吉田修一の作品の中では、「悪人」に近い内容のものだと思うが、最後まで面白く読めた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 吉田 修一
感想投稿日 : 2014年2月24日
読了日 : 2014年2月7日
本棚登録日 : 2014年2月6日

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