冒頭───
青い、大きな布を広げた真ん中に立っているみたいだ。
本城力は、小舟の上でそう思う。太陽を弾く四万十川の川面は穏やかでほとんど波や飛沫が見えず、のっぺりと幅が広い。
───
久々に小説を最後まで読み終えた。1年半ぶりくらいになるか。
多くの方々にフォローしていただき、レビューを楽しみにしています、と言われながら、なかなか本が読めなかった。単に仕事が忙しいだけだったのだが。
大好きな作家、辻村深月。
なかでも「名前探しの放課後」と「スロウハイツの神様」では、最終章の鮮やかな伏線回収と結末に号泣。
人間とは本を読んだ感動でこんなに泣けるものか、と思うほどの涙腺決壊。
ところが直木賞受賞後、白辻村と黒辻村と揶揄されるほど、その作風は2パターンに分かれた。
最後に感動の涙を流させる「白」と人間の奥底の嫌な部分を炙りだし、あまり読後感の良くない「黒」。
「どんなに苦しくても、最後は希望の灯が点るようなハッピーエンドを書き続けたい」と言った彼女はどこへ行ったのだ? とレビューに書いた作品もある。
今回、アマゾンで概要を読んだとき、これは「白辻村」路線だろうと思った。
だからすんなりと作品世界に入り込めた。最後まで読み通せた。
父親が事件を起こし、雲隠れする。
父親の行き先を突き止めようと頻繁に嫌がらせに来る芸能プロダクション。
残された息子の力と母親の早苗は居場所をなくし、日本中を旅することになる。
移動の先々で出会う人々。
その人々の生きる姿に心が動き、前向きになり、一人の女性或いは人間として成長していく早苗。
可愛い息子力のためにも、と。
これは子を持った母親の成長物語だ。
辻村深月自身、子どもを産んだことで新しい自分の世界を作り出したのではないか。
現在、私も生まれて初めて子どもたちに関わる仕事をしている。
その中で日々出会うのは、子供たちの逞しさや素晴らしさだ。
そして、その感動ゆえに、この子らのためにまだまだ頑張ろうと思う。
子どもは未来への宝である。
その宝物をより輝かせて世の中に送り込むことが私の使命だと思っている。
早苗も、自らの宝である息子のために、最後は現実と向き合うことを決断する。
───
やはり1年もレビューを書かないとやたら文章が下手になるのを痛感している。
しかも、それを出勤前の1時間で書き上げるのは限界がある(笑)。
何故そんなことになっているかといえば、散々図書館から返却催促を受けており、今日この本を返さなければならないからだ。
お待ちになっていた方々、申し訳ありません。<(_ _)>
もっと本を読もう。忙しくても何とか時間を捻り出し、本を読もう。そしてレビューを書こう。そうすれば、昔のような面白いレビューがまた書けるようになるだろう。
というわけで、あまり面白みのないありきたりなレビューになりましたが、今後にご期待くださいませ。<(_ _)>
レビューがつまらないので追記:
たまたま、昨日仕事でドローンを飛ばし、学校全体を撮影していた。
休み時間になると生徒たちがベランダに出て来て初めて見たであろう未確認飛行物体に大喜び。
皆が大声で「ドローン」「ドローン」と叫び、指さしながらはしゃいだ。
おい、待て待て、ドローンは名前じゃないし、犬じゃないんだから呼んだってそっちには行かないよと私は思ったが(笑)。
スマホで撮影した子もいるだろう。
でも、そんな子供たちの無邪気さが大好きだ。
というわけで、やはり子どもというのは宝物なのである。(^^)/
- 感想投稿日 : 2018年5月22日
- 読了日 : 2018年5月6日
- 本棚登録日 : 2018年5月16日
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