鍵のない夢を見る

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本棚登録 : 5093
レビュー : 908
著者 :
koshoujiさん 辻村 深月   読み終わった 

2012年7月18日

直木賞受賞おめでとうございます!!
と、とりあえず言うべきなんだろうな、ファンの一人としては。

で、直木賞受賞後の雑感追記は長くなったので下記に書きました。
http://booklog.jp/users/koshouji/archives/1/4062758229

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(追記:7月5日)
まさか、この作品が直木賞候補になるとは……。
彼女はここ2,3年のうちに直木賞を取るだろうと私は言ったが、まさかこの作品でとは思わなかった。

文藝春秋、何か意図があるのか?
直木賞は功労賞のつもりか? と思わざるを得ない。
受賞させるなら、もっと早くさせてしかるべき。
選考者連中、世の中とずれてるよ。
三度目のノミネートだから、そろそろって思ってるのかなあ?
まあ、受賞すればそれなりに祝福はしますが。
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──いったい辻村深月、この先どうなっていくのか。

以前「今後の彼女の真価が問われる最新作」と書いた手前、落とし前をつける意味で敢えて言葉を連ねれば、「彼女の作品をすべて読んだ(VTRは除く)私としては、彼女の今後に大いなる不安を覚えた」というのが率直な感想だ。
はっきり言って、これまで読んだ全作品の中で最も面白くなかった。
辻村深月ファンとしては、がっかりである。

話は変わるが、『NHKが講談社を提訴 辻村深月さんの小説ドラマ化でトラブル 東京地裁』
なんてニュースもつい最近あったばかりだし。
原作である「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」の脚本内容について辻村さんの同意を得られず、NHKがドラマ化断念というとことだから、かなり脚本に大幅な変更があったのでしょう。
そう考えると今年の初めに同じNHKでドラマになった『本日は大安なり』も、彼女にとっては不満だったのかな。

本題に戻ると、作品をけなすのはあまり好きではない(当然書いている本人も面白くないところをあげつらっても楽しくない)ので簡潔にとどめるが、この短編集は、迷い、葛藤、苦悩などを感じる女性の様々な物語。
重い、暗い、じめじめしている。
最後に光や明るい希望の見えるものも殆どなし。
ミステリー性も単調だ。
私生活の変化が作家活動にどういう影響を与えるのかを想像しながら作品について語るのは邪推だろうが、それでも独断と偏見で言えば、結婚、出産、子育てで、現在は作家活動に多少無理、或いはスランプが来ているのではないか。
最後の短編「君本家の誘拐」などは、私小説かと思ったくらいだ。
最近の彼女の作品「オーダーメイド殺人事件」「水底フェスタ」そしてこの「鍵のない夢を見る」(「サクラ咲く」は別にして)と続く流れで読んでくると、そんなことを感じるのだ。
年とともに下降線を辿っているように思える。
作者本人には誠に申し訳ないことだけれど。
このような状態ならば、少しお休みになって、じっくりと長篇を練ってもらったほうがいい作品ができるのではないかという気がする。
二年ぐらいなら、作品が出なくてもじっと待ちますから。
私が勝手に二大若手女流天才作家と名付けた、もう一方の綿矢りささんも、4年以上に及ぶ悩み、苦しみを経て、見事に復活したのだから。
私は待ちます。
やはり彼女には、伏線を思い切り張り巡らせた感動できる群像劇やミステリーを書いていただきたい。
これが辻村深月ファンとしての私の切なる願いです。
「スロウハイツ」や「名前探し」のような名作にもう一度出会いたいのです……。

レビュー投稿日
2012年6月30日
読了日
2012年6月30日
本棚登録日
2012年6月30日
6
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『鍵のない夢を見る』のレビューへのコメント

ginevra-potterさん (2012年7月2日)

初めまして!
コメントどうもありがとうございました。
ginevra-potterです。

コメントを頂き、驚きました。
それは初めてのことだったからというだけでなくこんな奇遇もあるのかと思ったからです。

『鍵のない夢を見る』を読み終わり、どうレビューしたものかと悩みました。
それも、辻村さんが自分にとって特別な作家さんであったから。
単に内容について感じたとおり酷評するか、それとも昔の辻村さんを追っているだけの自分を封じ込めて文体に着眼した冷静なレビューを書くか。
悩み、私は他の方のレビューを見てみようと思いそこでkoshoujiさんのレビューを見つけました。
自分のように辻村さんの昔の作品を愛している方を知り、自分にの気持ちに素直にレビューすることにしました。

長々と失礼しました。
同じように考えていらっしゃる方が他にいて嬉しく思います。
また、ヒリヒリして触れたくないけれど、意を決して一歩踏み出し、そして決して諦めなければ届く想い、明かりがあるということを伝えてくれるような作品が読みたいです。

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