岡田メソッド――自立する選手、自律する組織をつくる16歳までのサッカー指導体系

  • 英治出版 (2019年12月18日発売)
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概要
男子サッカー日本代表監督として、2度のワールドカップ出場とベスト16を達成した岡田さんの1冊。

ベスト16の壁を超えるために、主体的に自分で判断してプレーする選手が必要だと考えていた岡田さんが出会ったのが、「バルセロナでは16歳までにプレーモデル(サッカーをプレーするにあたっての原則)」を学ぶという考え方。岡田さんは日本にプレーモデルを導入することにした。プレーモデルを日本に導入することで、基礎を体得しているからこそ、大人になってから主体的に判断できる選手が増えると考えたからだ。そこで、FC今治を買収し、育成世代からプレーモデルを教えるという実験を開始した。そのプレーモデルと、育成・実践のための手法全体が”岡田メソッド”である。

選手が主体的に判断できるよう作られたのが岡田メソッドだが、これは社会人・会社員が主体的に判断できるようにするための組織づくりや育成方法にも共通する点が多い。


面白かったこと
選手が自立できないことのなぜなぜ分析
自立できない→選手がサッカーを体系的に理解できていない→指導者がサッカーを体系的に理解していない→日本にはプレーの原則が体系化されていない
そこで、対策として
プレーの原則を体系化する→指導者がサッカーを体系亭に理解する→選手がサッカーを体系的に理解する→選手が自立する
これは、サッカー・プレーをビジネスに、選手を従業員に、指導者を管理職に読み替えたら、そのまま当てはまる。

用語の統一
プレーモデルを作るにあたり、関係者みんなの意識を統一するため、用語の定義を明確にした。楔のパスというだけでも、人によって様々な理解があり、イメージが共有できないように。用語の定義をすることで、コミュニケーションロスが減り、イメージが共有され、理解も早まる。

ゲーム分析
サッカー・プレーモデルを、全体→詳細レベルで分解していき、共通原則→一般原則→個人とグループの原則→専門原則と定義している。
これにより、大局的な観点でうまくできていない点に気付くことができてから、各原則項目に基づいて順番に分析をし、原則にたどり着くのがスムーズになる。

哲学の浸透
FC今治では、哲学浸透のため、以下6つのキーワードに関する話を、繰り返し繰り返し伝えている。その繰り返しの中で文化・風土ができてくると考えている。
ENJOY、OUR TEAM、DO YOUR BEST、CONCENTRATION、IMPROVE、COMMUNICATION
自分がこだわることに名前をつけて、伝え続ける。これはリーダーにとって、ほんとうに大切な仕事。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年5月25日
読了日 : 2020年5月25日
本棚登録日 : 2020年5月25日

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