フィレンツェ連続殺人

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レビュー : 3
木谷りこ★さん 続はっぴゃくじ   読み終わった 

 スローフードとエクソシストにくわしい(!?)島村菜津さんの本があまりにも印象に強く、「違う作品も!!」と熱望して著作を調べたところ、目に飛びこんできたのが本書☆
 70年~80年代にフィレンツェで実際に起きた連続猟奇殺人事件を題材に、著者らしい驚異的な粘り腰による取材を行って実らせた力作です★

 年に一度、月のない夏の夜に恋人たちが殺され、遺体の一部が切り取られる。さまざまな憶測が飛び交うも、真犯人は特定に至らず。謎の殺人犯を、当時のイタリア人は「フィレンツェの怪物」と呼んで震撼したのだとか……!
 島村さんは、過去にこの事件を執拗に追っていたイタリア人ジャーナリスト、マリオ・スペッツィ氏に協力を仰ぎ、共著という形式でこの本をまとめ上げました。今度は島村さんが執拗なまでに事件を掘り起こし、すべてを丁寧に再検証していったのです☆ しかし、スペッツィ氏が一旦この事件から手を引いていたことには、ひそかに理由があったよう……

 己が信じる戒律のもとに、容赦なく人を死に追いやる怪物は、どこにいるのでしょうか?

 怪物と言うと、「自分とはまったく縁がない、血も涙もないヤツ。人間じゃない」と、途方もない想像がふくらむかもしれません。でもね、怪物は意外に身近にいるかもしれないのです。
 この本を興味深く思うのは、この陰惨な事件について詳細に調べ尽くしているから、だけじゃないのです(それもあるけど。とんでもなく克明なのだ!)。作者たちがひたむきに事件を掘り下げていった先で、「それにしてもなぜ、あなたは凶悪事件に惹かれるのか?」と問うような色合いを帯びてくるところ。ライターの自問自答でもあるし、読者にも投げかけられていると感じます★
 怪物とは何者なのか!? それは間違いなく人間のなかにいるのです。大げさな言葉を使えば、人間の「業」のようなものを感じます。またすごい一冊と出会いました!

レビュー投稿日
2021年1月19日
読了日
2019年12月8日
本棚登録日
2019年12月8日
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