自由を考える―9・11以降の現代思想 (NHKブックス)

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レビュー : 29
木谷りこ★さん はっぴゃくじ@Review Japan掲載書評   読み終わった 

現代を生き悩む若者に救いの持てる結論


 自由を考える……。「そんなの考えずにもっと自由にやろうよ~」と提案したいところですけど、考えないということこそ自由を「放棄」するのに近いのかも分かりませんね。

 まえがきに、こうあります。
「本書はむしろ、理論に興味のない読者にこそ読んでもらいたい」

「自由とは何か」「自由の意味は」「自由のあり方とは」
 時には眉間に味のある皺をたたんだポーズもとりながら、曖昧模糊とした「自由」の実態について、対談が進められていきます。色さまざまな文化や生活、政治、社会情勢の中で、真に現代に求められている「自由」が、クールにシャープに論じ倒される本です。

 東氏は、インターネットの利用者にとってはかなり身近なところに、可能性を見出してくれています。匿名の自由。立場や責任がずっしりとのしかかる実名の圧迫感を逃れた時、匿名の世界には解放感が広がっています。だからこそ、お互い足元に縛られず、自由に情報や意見の交換ができるというもの。

 しかし、自由であるが故に現代人の興味関心は細分化が進み、若者はオタク化し、共通項が減っています。全く価値観が異なる相手に対しても共感を抱くことができるのか…。大澤氏の答えは「できる」です。そして、この状況に光射す結論は、これしかないのです。
 現実には、大澤流に「他でありうる」と考えたくても、価値観の違う人から向けられる言葉の暴力に傷を負い、今をもがいている身の上。すんなりとは納得できないものも感じるけれども……。

 どちらも、現代を生き悩む若者にとって、救いの持てる結論を提示していると思います。
 正しくとらえられれば居心地がいい。ただし、履き違えるといっぺんにめちゃくちゃになってしまう。今時の自由は繊細です。何がどう自由なのか、いま一度問い直してみたくなりました。

レビュー投稿日
2012年5月17日
読了日
-
本棚登録日
2004年10月17日
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