世界悪女物語 (河出文庫 121B)

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本棚登録 : 497
レビュー : 39
著者 :
木谷りこ★さん はっぴゃくじ@Review Japan掲載書評   読み終わった 

<時代を挑発した悪女たちの、悲哀>

 澁澤先生による世界史の授業。年表を毒々しく彩った悪の華たちの生涯が、想像していたよりは毒のない、端正な文体で分かりやすく解説されています。
 歴史と人物の学習にもってこいの一冊なのは間違いない。ただ、あまりにも危険に満ちた事例が多発★

●ルクレチア・ボルジア―中世イタリアで最強の妹
 悪名高いボルジア家に生まれ落ち、兄チェーザレの野心を叶えるために政略結婚しまくった、世界史上最強の「妹」。チェーザレはヨーロッパをチェスボードに見立てて壮大な戦いをくりひろげ、ルクレチアは常に彼の重要な駒として進められたのでした。

●マリー・アントワネット―無邪気すぎたフランス王妃
 遊び好きで政治的な知識に乏しく、一国の財政がかたむくまで贅沢の限りを尽くした彼女を、ギロチン台が待ち受けていました。素は朗らかな性格で、育ちのいいお姫様だったのではないでしょうか。しかし、ときに並み外れた無邪気さは罪に値します。

●クレオパトラ―英知で輝いたエジプトの星
 近隣諸国の言語に通じ、巧みな話術と美貌で権力者を次々に落とした才女。彼女が美しかったとすれば、それは知性の刃で研がれた美だったようです。聡明ゆえに美しく、美しさが武器化した。だからこそ、女の魅力で訴えかけることに失敗した時、即、破滅を悟ったのでしょう。

 他にも「美貌と権力によって悪虐のかぎりをつくした女性、あるいはまた、愛欲と罪悪によって身をほろぼした女性」続出。
 はっきり言いますが、私はしたたかで欲深い女たちに憧れがあります。悪女性こそ、女が道を切り拓くための最強手段だ!

 しかし、歴史を揺るがした悪女たちも、余裕で世界をもて遊んだわけではなさそう。己の命運をかけて大見得を切り、背水の陣で時代を挑発した誘惑者。成功すれば世界が彼女のもとにひれ伏すかわり、一歩間違えれば派手に転落死……。そんな一抹の哀れさも感じられたのでした。

レビュー投稿日
2019年2月24日
読了日
-
本棚登録日
2004年10月21日
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