空にピース (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2024年1月12日発売)
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感想 : 45
5

文句なく⭐︎5つ!
素晴らしい小説だった。
帯を見て新米教室が子供達に降りかかる困難に奮闘するお話…と思い手にしたが、そんな軽いものではなかった。
今や小学生の抱える問題はお友達と喧嘩しちゃった…勉強が難しい…ありきたりなものではなく不登校、ネグレクト、貧困、不法滞在、小児性愛者…そのどれもが紛れもなく社会問題である。
社会問題があどけない小学生の学校生活にまで入り込んでいる事が恐ろしい。
そしてそれらの問題から目を背ける事が当たり前のようになってしまう教師のあり方、そうせざるを得ない教師を取り巻く環境、教師ばかりではなく親の在り方、家庭環境、地域社会の子供への関わり方…波紋はどんどん広がるばかりだ。
「金の角持つ子供たち」の塾講師、加地先生も素晴らしい先生だったけれど本書の澤木先生もまた心から子供を想い、正面から向き合う先生…こんな先生が1人でも多く…と思わされる先生の象徴だ。
(クラス全体を見た時賛否両論ありそうな先生だけど…笑。問題児とされる生徒に心を奪われすぎると手の掛からない生徒や保護者の心は歪む問題も多々^^; 理解してくれる生徒や保護者ばかりではない)
小説として充実した読書時間を持てた事は確か!ただそれだけではない…小説の中の話だから…と終わらせられない大きな問題定義を掲げてくれた!
そう、こういう現実がある事をもっともっと知らなければならない。
知るところから始まると思わされた!

藤岡さんの小説、やっぱり好き。
他の小説もたくさん読んでいきたい!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年4月10日
読了日 : 2024年4月10日
本棚登録日 : 2024年4月10日

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