
20年間ずっと片隅で“脇役”として過ごしてきた信子に芽生えた初めての恋心。モブではなく、恋の主役になるためにゆっくりと一歩ずつ踏み出していくラブストーリー。
人見知りで引っ込み思案なところにすごく共感してしまう。連絡先を聞いたり、お礼を伝えたり、休憩室で寝ている入江のメガネを取ってあげたり、そんなちょっとしたことが彼女にとっては大冒険。初めての恋の瑞々しい一歩一歩をとても丁寧に描こうとしているのが伝わってくる作品。
間の取り方が上手いなと感じる。展開はゆっくりだけど、間延びしない空気感とあたたかさがあるよね。日常のささやかな幸せにドラマがあるんだと伝えてくれる。
「慣れないことをして やっと 近づける気持ちがあるのかもしれない」
気を遣い合うやさしい二人の恋愛をそっと見守るように読み続けていきたい。
- レビュー投稿日
- 2019年11月21日
- 読了日
- 2019年11月21日
- 本棚登録日
- 2019年11月21日