女 (百年文庫 41)

  • ポプラ社 (2015年1月2日発売)
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感想 : 15
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芝木好子『洲崎パラダイス』、西條八十『黒縮緬の女』、平林たい子『行く雲』の3編収録の短編集。『洲崎パラダイス』は芝木好子の初期の歓楽街3部作の代表作。私が好きなのは後期の美術や仕事に邁進する女性の姿を描いたものだが、やはり女性を描くのがうまい。分かっていても足を洗えない売春婦の哀しみ。混沌とした時代ならではの女性の生きるさまが、今の行き詰まった日本に通じるものがあるような気がする。「堅気」だと嘯きながら男を絡め取る媚態は、私たちが生きる上であきらめを感じたとき、その愚かしさ、そうしか生きられない性に、ふと共感に似た感情を覚えるのだ。(この百年文庫は、正直このたっぷりとった行間、短篇3本でこの値段は高い、と買わずにいた。しかし手にとってみると、今眼精疲労で読むのが辛い身にとっては、本当にありがたい。しかも今まで読んだ百年文庫はどれをとっても外れなしの名作揃い。中古で少しずつ読み進めていこうと思っている)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年8月13日
読了日 : 2012年8月6日
本棚登録日 : 2012年8月13日

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