姫椿

  • 文藝春秋 (2001年1月31日発売)
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感想 : 30

このひとは嫌いじゃないけれど、手を伸ばせない、そんな作家だ。
読み終わった後、否応なくもの凄く大きなものを背負わされるからかもしれない。
その突きつけられるものの大きさや重さに、無理矢理勢いよく飲み干すよりも、じっと抱え込んでいたくなる。とにかく疲弊しきってしまって。
特に表面的な主題が普遍的な苦しみとか悲しみとか喜びとか、そういうものではなくて、読み進めていくうちに不意に、がつんと殴りつけられるから。

特に「シエ」。あんなに短い物語のなかにどうして、あんなに深い悲しみや痛みや幸福を沈められるのだろう。

またしばらく、浅田次郎は読めない、多分。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あ行の作家
感想投稿日 : 2012年9月10日
読了日 : 2001年11月20日
本棚登録日 : 2001年11月20日

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