このひとは嫌いじゃないけれど、手を伸ばせない、そんな作家だ。
読み終わった後、否応なくもの凄く大きなものを背負わされるからかもしれない。
その突きつけられるものの大きさや重さに、無理矢理勢いよく飲み干すよりも、じっと抱え込んでいたくなる。とにかく疲弊しきってしまって。
特に表面的な主題が普遍的な苦しみとか悲しみとか喜びとか、そういうものではなくて、読み進めていくうちに不意に、がつんと殴りつけられるから。
特に「シエ」。あんなに短い物語のなかにどうして、あんなに深い悲しみや痛みや幸福を沈められるのだろう。
またしばらく、浅田次郎は読めない、多分。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
あ行の作家
- 感想投稿日 : 2012年9月10日
- 読了日 : 2001年11月20日
- 本棚登録日 : 2001年11月20日
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