西の魔女が死んだ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2001年8月1日発売)
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「西の魔女が死んだ」。冒頭でとても引き込まれた。そこから登場する主人公まいとそのおばあちゃんの関係にどうしても終わりが来ると想像してしまい、近いうちに訪れる終わりを感じながら読み進めた。
祖母はまいに魔女修行と称して一人の人間として独立する術を教えていた。「意志の力、自分で決めたことをやり遂げる力」が大事だという教えはいつの時代でも大切なことだ。なんでも人に聞くことができ、さらに言うとAIに意思決定を任せることすらできるこの時代で、自分で選ぶ力は自分であることを証明してくれると感じた。併録されていたまいのその後の物語ではまさにまいは精神的な独立を成し遂げているように思えた。
自分で見ようとしたもの以外には耳を貸さないという考え方は生きやすくもあり、それでいて危険も孕んでいるなと感じた。もちろん意味のない悪魔のささやきやいわれもない中傷などには一瞥もくれてやる必要はないが、それが悪魔のささやきなのか自分の身を案じてくれた魔女の注意なのかはどう判断するのだろう。祖母の他人の意見には惑わされないまっすぐとした生き方を彼女は「オールド・ファッション」と言っているように感じたが、その言葉にも自分と他人は理解しえないというあきらめがあるように感じた。結局この本を通してどちらの考え方が今の時代に適しているのか余計分からなくなったような気がしたが、結局は自分で決めることが大事という大きな教えに立ち返ればよいのだということに気が付いた。
ゲンジさんの最後の行動はよく理解できなかったし、祖母の庭の再開発をまいの土地が防いだという話も詳しく聞きたいし、銀龍草と祖母との物語も続きがありそうでもっと書いてくれたらいいのにと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸書
感想投稿日 : 2021年2月1日
読了日 : 2021年2月1日
本棚登録日 : 2021年1月31日

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