まだ社会の汚れを知らない少年だったダーウィンは父の罪を知ってしまったことにより、嘘をつかずに大人になることは出来ないのだと悟る。そして愛する人を守るために犯す罪は自らの正義を貫くことであり、その罪悪を乗り越えてこそ偉大な人物になれるのだと犯罪への合理性を見つけてしまう。
「自分はプライムスクールだ。プライムスクールは僕だ。」
第1地区という階級社会から外れることは出来ない。
罪は克服してしまえば良い。強者だけがこの第1地区に生き残る。生物の進化論のように...
純粋な良心を持っていたもう一人の自分と決別してしまったシーンは芥川龍之介の羅生門を思わせた。
正義は時に暴力となる。
真実は必ずしも人を幸福にするとは限らない。
極端すぎる格差は社会の歪みを生み出し、尊厳を守るはずの法は次第に人を追い詰めていき、逃げ場を失った人々は罪を犯す。それを隠すために更に罪が増える。
悪の根源とは、人間という存在なのか。
罪を生み出したのが愛であるというなら、その救いも愛ではないのか。
「罪も許しもみんな人間の作り出したものだから、世の中に人間が人間に許されぬ罪はない」
レオが残した言葉を真に受け止めることができる日はダーウィンに訪れるのだろうか...
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月19日
- 読了日 : 2023年11月15日
- 本棚登録日 : 2023年11月15日
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