戦後間もない東京を舞台に、満州からの復員兵の西郷、戦争孤児の未知夫、踊り子の朱里の3人が疑似家族となる。そこに猟奇殺人鬼の影が差し、その生活も終わりを迎える。
戦争で総てを失い、自ら死臭を纏っていると感じる生者、ひたすら前を向いている真っ直ぐな生者、この両者の精神的な暗さの対比が痛々しい。予想外の結末に、復興する街から外れてしまった者の淫靡で暗鬱な内面が見えてくるようだった。
ところで、大導寺竜介の謎は深まるばかりなんですけど…。現代の静音や直顕も出てこないし。
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カテゴリ:
一般的な小説・絵本など
- 感想投稿日 : 2006年4月2日
- 本棚登録日 : 2006年4月2日
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