わたしは、オリジナルの『テキサス・チェーンソー』を観たことがありません。
映像の綺麗さと言いますか、全体的にクリアな印象が強くて、劇中で紹介されている『七十年代』というのがときどきすっかり頭から抜けてしまいます。電話も黒電話みたいなやつだし(笑)
全体的に、ホラーとしてはまあまあなのではないでしょうか。少し痛々しい場面もありますが、【ハンニバル・ライジング】のように『何故加害者がこうなったのか』という背景が書かれていないおかげで不気味さが際立っています。ヒッチハイカーなど特定の人間を狙わない殺人は、『理由なき殺人』であらなければならないわけです。そうでなければ、「ああ、こういう人間だったからか…」という同情が生まれてしまう。【十三日の金曜日】にしろ【エルム街の悪魔】にしろ、彼らが殺人を犯す正当な理由(【エルム街の悪魔】はいささか正当化じみているというか違う気もしますが)があるけれども。それを『気にさせない』キャラクターで在らねばならないのではないか?と。
コメンタリーでは『何故彼がこうなったか』などと説明していますが、この作品のなかでは詳しく説明していません(続編の『テキサス・チェーンソー ビキニング』では多少の説明をしているらしいですが)。そのおかげで、「どうしてこんなことをするんだ!?」という疑いもなにもない。ただただ、主人公たちが嬲られていくのを観るだけでいいのです。
最後はある意味スカッとしました。ザマーみさらせっ!と思わずガッツポーズ。三回もしたのにはちょっと驚きましたが。あれでパンクかなんかしてたらどうなるんだろう。そのまえのガタガタ具合も、ちょっと悩んだり。実際にショッキングな場面を観ればああなるのかもしれないけれど、冒頭に出てきた少女のような口ぶりには少しだけざわざわしました。
- 感想投稿日 : 2010年2月9日
- 読了日 : 2009年7月19日
- 本棚登録日 : 2009年7月19日
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