骨を弔う

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本棚登録 : 334
レビュー : 54
ksk84さん レビュー有   読み終わった 

インパクトのある表紙、そして「あの『サラバ!』以来の圧倒される作品」という担当編集者の帯に惹かれて購入。

本作、すごく面白かった!!
何となくこの先の人生に不安が…
という、30代半ばの自分に「この世界は、まだまだ捨てたものじゃない」というワードがガッツリ突き刺さりました。

まず設定がなかなか面白いです。
骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事から物語が始まります。
主人公は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めた記憶が…
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっている。
そこから「あのときに埋めた骨は本当に標本だったのか…?」という疑問が浮かぶ。
大人になった主人公が、真実を明らかにするために友人を訪ねていく…というストーリー。

幼少期の小さな冒険のエピソードって、きっと誰しもが持っているはずです。
昔の自分なんかも思い出しながら、うっとりと物語に浸ることができました。

黄金時代とも言えるその冒険を起点にして、今それぞれの登場人物が抱える閉塞感が少しづつ晴れていくという展開がまた素敵です。
なんだがとっても胸熱です。

読後、心が温かくなります。
そして、ものすごくセンチメンタルな気持ちになります。
旧友に連絡したくなります。
ウザがられないように注意が必要です。

<印象に残った言葉>
・こいつは人生の目標を失ってしまったんだな、と哲平は思った。でも人生の目標って何なんだ?俺だって明確にそんなものがあるわけじゃない。東京で、何とかやっていけるよう頑張ってはきたが、目の前の仕事を夢中でこなきていたら、ここにたどり着いた感じがする。努力はした。朱里と暮らして、お互いが自己実現できていると思っていた。それで満足していた。籍も入れず、子供も作らず、新しい家族の在り方を実践しているつもりだった。でも、それでいいのか?この先は、どこへ続くのだろう。人生の成功者だと周囲の人々が認めてくれるのか。そもそもそんなものに価値があるのか?何が残る?悦に入った鼻持ちならない男が一人出来上がるだけではないのか?(P39)

・もう迷うことはない、とあの時思った。人生の目標だの、生きがいだの、そんなたいそうなことを考える必要はもうないのだ。ただこの子を育てることだけに没頭すればいい。用意された場所に落ち着いた気がした。母という役割を与えられた春の朝。(P80)

・口を閉じ、目をつぶれ。(P277 京香)

・奇跡はね、それを見る力のある人のとこにだけ来るんだよ—って、昔真美ちゃんが言ってた。(P278 京香)

・真実が人を助けるとは限らん。(P285 父)

・この世界は、まだまだ捨てたものじゃない。(P318)

<内容(「Amazon」より)>
2018年上半期最大の衝撃と感動

骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。
最初は訝しがっていた哲平も、ふと、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。
リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息はわからないまま、謎は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。

【編集担当からのおすすめ情報】
あえてハードルを上げますが、担当作でここまで掴まれ、揺さぶられ、圧倒的される小説は「サラバ!」以来です。本当に、何度読んでも、そう思います。(担当編集者)

レビュー投稿日
2018年7月22日
読了日
2018年7月22日
本棚登録日
2018年7月22日
2
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