海と毒薬 (新潮文庫)

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本棚登録 : 6794
レビュー : 792
著者 :
ksk84さん レビュー有   読み終わった 

ずっと気になっていた「遠藤周作」さんの本。

「日本人とかいかなる人間か」を改めて考えさせられる。

無宗教ゆえに、社会、世間からの目を基準に物事を判断してしまう心理。
そこを基準にするからこそ、周りに流されて正しい判断ができなくなる。

それぞれの人物が人体実験に手を出していってしまう様子。
読みながら怖いと思う一方、その心理状況も分からなくはないと感じた。

自分達がそういった思考になりやすいという事実を肝に銘じ、誤った判断をしないようにしなければならないと思う。

<印象に残った言葉>
・ それならば、なぜこんな手記を今日、ぼくは書いたのだろう。不気味だからだ。他人の眼や社会の罰だけにしか恐れを感ぜず、それが除かれれば恐れも消える自分が不気味になってきたからだ。不気味といえば誇張がある。ふしぎのほうがピッタリとする。ぼくはあなた達にもききたい。あなた達もやはり、ぼくは同じように一皮むけば、他人の死、他人の苦しみにも無感動なのだろうか。多少のアクならば、社会から罰せられない以上はそれほどの後ろめたさ、恥ずかしさもなく今日まで通してきたのだろうか。そしてある日、そんな自分がふしぎだと感じたことがあるだろうか。(P145)

・ 今、戸田がほしいものは苛責だった。胸の烈しい痛みだった。心を引き裂くような後悔の念だった。だが、この手術室に戻ってきても、そうした感情はやっぱり起きてこなかった。普通の人とちがって、医学生である彼はむかしからひとりで手術後、手術室にはいることにはなれていた。そういう場合と今、どこがちがうのか、彼にはよく摑めなかった。(P182)

レビュー投稿日
2017年1月29日
読了日
2017年1月22日
本棚登録日
2017年1月22日
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