陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫 い 14-1)

著者 :
  • 祥伝社 (2006年2月8日発売)
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5

個人的にずっと追いかけている作家、伊坂幸太郎さんの作品。
初期ってどんな感じだったかな?と、何となく読みたくなって再読。
これで3、4度目くらいかな…?

やっぱり良いなぁー、この猫ならぬエンターテイメントまっしぐら感(*´∀`*)
軽妙なセリフの掛け合い、洒落たフレーズ、言い回し、伊坂幸太郎作品の醍醐味はこれだよなー…と、改めて実感。
読みながら気持ちが昂ぶってるくるこの感覚、こんな高揚感がある作品って他にないなぁと。
前よりも色々な作品を読んだ後だからこそ、改めて伊坂作品の良さが分かった気がした(^^)
逆に、最近はこんな感じじゃなくなってるかもなーとも思った…

再読して、まず一番最初の「二人組の銀行強盗はあまり好ましくない…」のくだりでハートを鷲掴まれる(笑)
4人のことを知ってると、その時点でニヤニヤが止まらず…
絶妙な文章表現、軽やかさ、そして程よく残された突っ込みどころ、どこを切り取っても完璧。
ここに伊坂さんの良さ全てが詰まっている気もした。

言わずもがな、ストーリーの構成もむちゃくちゃ巧い。
読者の2、3手先を軽く行く展開は当たり前。
どんでん返しの質、数は他に類を見ない。
そして、伏線回収もとても美しい。
個人的には、やっぱり響野さんのボクシング・インターハイのくだりが好きかな( ̄∀ ̄)
基本的に響野さんに憧れている部分があるので、贔屓目は確かだと思う(笑)

ロマンはどこだ。
そう、この本の中に。

<印象に残った言葉>
・二人組の銀行強盗はあまり好ましくない。二人で顔を突き合わせていれば、いずれどちらかが癇癪を起こすに決まっている。縁起も悪い。たとえば、ブッチとサンダンスは銃を持った保安官に包囲されたし、トムとジェリーは仲が良くても喧嘩する。
三人組はそれに比べて悪くない。三本の矢。文殊の知恵。悪くはないが、最適でもない。三角形は安定しているが、逆さにするとアンバランスだ。
それに、三人乗りの車はあまり見かけない。逃走者に三人乗るのも四人乗るのも同じならば、四人の方が良い。五人だと窮屈だ。
というわけで、銀行強盗は四人いる。(P6)

・ロマンはどこだ。(P75 響野)

・四分ちょうどです。みなさん、最後までおつき合いいただいてありがとうございました。ショウは終わりです。テントを畳み、ピエロは衣装を脱ぎ、象は檻に入れ、サーカス団は次の町へ移動します。(P91 響野)

・なーんだ。二十一世紀なんて、もうすぐよ。その時に、こんなふうに木星に行けると思う?でしょ。キューブリックだって未来のことを見誤ってたのよ、先のことなんて誰も分からないってことじゃない。ということは、わたしたちが何十年か先のことをくよくよ考えたって仕方がないのよ。唯一、はっきりしていることは、わたしたちの目の前にいるタダシはとても愉快で、この瞬間、わたしたちはハッピーだってことよ。(P150 元奥さん)

・料理に入ったパイナップルと、リスクのない暴力と、それから、薫くんをいじめるやつら、だ。(P177 久遠)

<内容(「BOOK」データベースより)>
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年9月23日
読了日 : 2012年7月10日
本棚登録日 : 2012年7月10日

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