愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3) (講談社選書メチエ)

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著者 :
首回りICHIGOさん 読み物   読み終わった 

中沢新一のカイエ・ソバージュ 第三巻。

まずは気になったところを羅列。

序章より
・経済の深層部分で「愛」と融合しあっている。

第一章より
・経済の基本であるのは「交換」「贈与」「純粋贈与」。三つは相互に結びついている。ラカンは「ボロメオの結び目」と呼んだ。
・贈与は中間的対象。交換はモノと人格を分離する。

第三章より
・ラスコーなどの壁面に描かれた動物」などは「無からの有の創造」を思考したという、純粋贈与の形を感じていたのではないか。
・洞窟の奥に描かれたパイソンの横に倒れているペニスがエレクトしている男性はシャーマンだったのではないか。いわゆる「ドラックパーティー」に使われていて二酸化炭素中毒により「死」と隣り合わせの状態を描いていたのでは。
・洞窟壁画は芸術の始まりと捉えられてきたが、抽象思考の始まりの場所であったのではないか。
・考古学的発掘品をみると、たとえばパイソンの角に13本の刻み目が彫りこんである。それは月の満ち欠けを表わしていてカレンダーとして使っていたのではないか。
・豊穣の女神を表わす、山羊の角を杯とする聖杯「コルヌコピア」は無から有を創造するように現実の富を生み出す能力を表わしている。

第四章より
・贈与と交換は社会を流動させる。
・鍛冶と音楽と貨幣は深い関連をもつ。神話では鍛冶屋は音楽家として描かれる。これは叩くとこに由来している。そして金属は貨幣に関連している。

第五章より
・労働の贈与と純粋贈与する大地が交じり合い、純生産は生まれる。人の繊細な技術によって、大地は悦楽し、増殖が起こり、剰余価値が発生する。

第六章より
・資本主義において価値の増殖は表象の「トリック」によってつくられる。
・資本主義の価値増殖は「笑い」の生理作用と似ている。
・幼児が母親の乳房から養分を取る悦楽の中にも贈与的なつながりがみえる。
・マルクスは経済活動を通して贈与の原理を働かせて愛の関係を生まれることを望んでいた。

第七章より
・経済の基本、価値の増殖の関係はキリスト教の三位一体の図式と同じ。
・クリスマスにはいろいろなタイプの精霊がでてくるため、資本の増殖と霊の増殖を一緒にお祝いできる。クリスマスこそわれわれの夢を実現しているのではないか。
・現代は何でも経済の影響化にある。その時代で生きている私たちは「荒廃」している現代の意味を考えなければならない。


この書はタイトルがまずいい。
「愛」と「経済」と一見結びつかない二つがテーマとなっている。
しかし本書にてその二つは見事に結びつく。
中沢新一流経済学書は世の中の経済の流れを教えてくれるのではない。
経済の誕生とそこに生きている私たちの意味を提議してくれている。大変興味深く読ませていただいた。
世の中にある「モノ」に意味のないものなんてない。
すべてに意味・理由があり、それらは繋がっているのだ。

レビュー投稿日
2010年8月29日
読了日
2010年8月28日
本棚登録日
2010年8月27日
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