スペードの3

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本棚登録 : 1626
レビュー : 267
著者 :
九月猫さん 朝井リョウ   読み終わった 

痛い。闇い。黒い。読みながら何度思ったことか。

優越感・劣等感・嫉妬・羨望・憧憬・嫌悪・軽侮……隠しておきたい感情・見せたくないし見たくない感情ばかり綴られる。

『スペードの3』
某歌劇団出身のミュージカル女優つかさ様のファンクラブを仕切る美知代の物語。
子どもの頃から委員長タイプの彼女。感じていた優越感は「あのコ」の出現によって劣等感にすり替わり、焦燥と嫉妬に襲われる。昔も今も。
――いくら待っていても、革命は起きない。私から動かないと。

『ハートの2』
自分の容姿に劣等感を持つむつ美の物語。
容姿のせいで自分に自信がなく、小学校でも中学校でも軽んじられていた彼女の踏み出した小さな一歩は呼び名を変えるところから。
――誰かのためなんて言い訳せずとも、自分のためでいいのだ。私は、私のために、よりよくなりたい。

『ダイヤのエース』
美知代、むつ美のあこがれの存在である、つかさ様の物語。
舞踊学校の同期で女優の円(まどか)が引退するというニュースに、昔から彼女に抱いていた鬱屈した想いが頭の中でぐるぐる巡る。
――どうしていつもあの子だけ。私にはなんにもないのに。


朝井さん作品を読むのはまだ2作目。作風もわかっていないけど、前回も今回も「達者な文章と端正な構成」と思う。
それは、どんなに巧くてもツクリモノ=小説であることも実感させるけれど、勿体なさを感じるよりも、ほっとするのが正直なところ。
リアルを超えたリアル。
彼と同世代を描いた等身大の物語はその辺りどうなんだろう?ぜひ読んでみなければ。

レビュー投稿日
2014年5月2日
読了日
2014年4月29日
本棚登録日
2014年4月30日
10
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『スペードの3』のレビューへのコメント

vilureefさん (2014年5月2日)

こんにちは(^-^)/

私も読みました!!
同時期に読んでいたのかなと思い嬉しくなりました〜。

私、またしても辛口評価になっちゃいました。
でも朝井君(←君付けかよ^^;)の場合、これからも温かく見守って行きますよ。
親戚のおばちゃんのような気分で。

ダークな朝井リョウならやはり「何者」がダントツです!
とはいいつつ、もちろん全制覇してませんがf^_^;)

九月猫さん (2014年5月2日)

vilureefさん、こんばんは♪

わっ、同時期に同じ本!
読書会みたいで、嬉しくてにこにこしちゃいました(*^-^*)
作品は「にこにこ」とは程遠いお話でしたが(^^;)

「クン呼び」してしまうのわかります!
2作しか読んでいない私でも「リョウくん」と書きそうになって、慌てて修正しました(笑)

「何者」ってダークなんですか?!
イマドキの学生の就活をネットツール絡めて書いたお話としか知らなかったので、驚きです。
レビュー内に書いたように、リョウくん(コメだからこの呼び方でもいいよね)の
等身大の小説を読みたいなと思っていたんですが、ダークなら後回しかな(^^;)
明るい気分で読める等身大の作品は、「チア男子」とかエッセイでしょうか?

さてさてそれでは……
vilureefさんの辛口だというレビューにお邪魔します♪わくわく♪

vilureefさん (2014年5月3日)

だはは、リョウ君!!(≧∇≦)
うん、呼びたくなるなる。
情熱大陸に出演したのご覧になりました?
もう1年くらい前??
あれからぐっと親近感がわき、ついつい朝井君とかって呼びたくなっちゃうんですよね。
読書傾向の違うブクログ仲間さんも一様に朝井君ファンが多いような気もするのは母性本能が故!?

「何者」はダークですね。
構成といい斬新さと言い文句のつけようがないと言うか。
だから余計に今回の作品はこの路線の二番煎じに思えてしまって(^_^;)
でもお仲間さんの中では高評価な方もいらっしゃいますよね。

等身大と言うには失礼な気もしますが高校生活を描いた「少女は卒業しない」はいいですよ。
作った感じがなくて爽やかリョウ君全開です!!
何を隠そうあのまろんさんが朝井作品で一番好きと言ってましたよ〜♪
まろんさんお元気ですかね(遠い目・・・)。

チア男子も桐島も有名な作品ですが、遡って全部読むぞ!!って気にもならず。
ヘタレですな。
実はそこまで好きじゃないのかも!?Σ(゚д゚lll)

私のレビューにもコメントありがとうございました。
誠に勝手ながらこちらにまとめてお返事させていただきました(^з^)-☆
続きの読書会はこちらで。


koshoujiさん (2014年5月6日)

九月猫さん、こんにちは。
私も朝井君の爽やか路線で好きなのは
「少女は卒業しない」です。お薦めです。
あのキラキラした感じが何とも言えません。
私は、どちらかと言うと朝井君の作品を
彼独特の言葉の表現で楽しんでいるところがあるので、どんな作品でも概ね満足しちゃいますね。
綿矢りさを読むのと同じような感覚です。

九月猫さん (2014年5月8日)

vilureefさん、こんばんは♪

お返事遅くなってごめんなさい~っm(_ _)m

「情熱大陸」観ました観ました!
あれ観て、朝井さんが「リョウくん」と呼びたくなる好青年だったので、
「世界地図の下書き」を読もうと思ったんですよー(*^-^*)

私はこの本が2作目なので、構成も巧いなと思ったのですが
「何者」を先に読むと二番煎じに感じるんですね。
先日お話しした読む順番の問題がここにも・・・!!
「少女は卒業しない」は爽やか全開、っとφ(・ェ・o)~めもめも。
朝井さん作品、この2作は読むことにします。
全部追えるといいんですけれど、読むのが遅いので・・・(T_T)ムリっ
なので、こうしていろいろと教えていただけるとありがたいです♪
本当にいつもありがとうございます(*´з`)♡

九月猫さん (2014年5月8日)

koshoujiさん、こんばんは♪

コメントありがとうございます。
お話させていただくのは「初めまして♪」ですよね。
なのになのに、お返事遅くなってしまって、ごめんなさいっm(__)m

朝井さん、文章と構成がとても巧いなぁと感じます。
「世界地図の下書き」→「スペードの3」と読み、どちらも傾向が違う作品だったうえに、
朝井さんのこれまでの作品と違うとか「こんなのも書くんだ?」という感想をよく見るので
なんだか私にとってはまだ「つかみどころのない」作家さんです。
でも、他にも読んでみたいと思う魅力ある作家さんでもあります。

vilureefさんに、まろんさん。
そして朝井さんファンのkoshoujiさんもおススメの「少女は卒業しない」は
ぜったいに読もうと思います。
おススメありがとうございますー♪

koshoujiさん (2014年5月8日)

九月猫さん、コメントありがとうございます。
「少女は卒業しない」是非お読みください。
ついでに「もう一度生まれる」と「星やどりの声」もお薦めです。
もちろん「桐嶋、部活やめるってよ」もですが。
結局全作品お薦めしてしまいますが(笑)
でも、私にとっては、常に感動させてくれる若き天才作家です。

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