少女怪談

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本棚登録 : 110
レビュー : 29
著者 :
くろりさん  未設定  読み終わった 

 「とてつもなく愛らしく、けっこう残酷。
  女の子四人のこわくない『怪談』。」

 「ペティの行方」「青いスクーター」「アキちゃんの傘」「ミミカの不満」収録。

 印象深いのは冒頭の「ペティの行方」。コンビニの前から犬を盗んで来ちゃった磯辺みどり。とても自然に自分が美人な方であること、学校のグループでも中心的な立場に居ること、謝れば大抵許してもらえることを知っている。だからこそ、出来心でふらっと犬を連れ出してみたりして…。
 偶然出会った大学生の先輩。
「なんかもうめんどくさいな」「次、降りてね」「その帽子、似合ってねーよ」
言葉の端々が、ぐさって来る。仕方ない。犬は盗んだものだし、少し付き合ってあげるかって上から目線だったのは、みどりだから。
 最近あまりうまく行ってないクラスメイト。
「盗んだでしょ」「イソコ」
突然、敵になったような気がしてしまう。でも、死彼方い。犬はやっぱり盗んだものだし、デカブス、メガネって心の中であだ名を付けて呼んでたのはみどりもだから。
 犬の飼い主、拓美。「僕のせいだ」と繰り返し思う拓美と、「私は悪くない」と思うみどり。二人がぶつかったら、どうなるんだろう。怖くないけど、なんだかぞくぞくするような余韻を残して終わる。

 「青いスクーター」は、店頭に飾られた青いスクーターに、カノジョと一緒に乗りたいなって冴えない男の子の浩一の物語。ある日突然、鏡やガラスに、昔の同級生の生首を見るようになった。同級生、生きてるけど。モテナイのに、クラスの女の子にはちゃっかり差を付けた接し方をしちゃう。だからなおさら、モテナイ。本命じゃない女の子を誘って、
「罰ゲームだから」
なんて言っちゃう。だから、かな。
「もう来ないでね、絶対」「むりむりむり」
好みなかんじになった、昔の罰ゲームの相手には当然嫌われるし、告白した相手には三連続で無理と言われる。因果応報、なのかな。自然に残酷な学校カースト。

 「アキちゃんの傘」は、年上のいとこが忘れて行った傘を勝手に使ってみた日から、どうもついてないような気がするノエのお話。変なカタチの傘、からかわれても彼氏は守ってくれない。でも、逃すのは惜しいからそのまま付き合っちゃう。家庭にはそれとなく複雑な事情があって、ママは片付けをしないし、パパは家に帰って来ない。
 そしてパパの秘密、いとこのアキちゃんと浮気してるんじゃないかな、って気付いちゃう。でも、何も言わない。気付いてるけど、だからママのことを悪く言ってみたりするけど。子どものふりは、続けられない。

 「ミミカの不満」。小学生のミミカには、パパがいない。ママだけ。でも、新しいパパが、できるらしい。子どものふりして、反抗してみたり。ミミカはママの愛情を一人占めできないことが、不満。だから寄り道。まっすぐ家には帰らない。
 ある日出会った男の子と一緒に、空家の探検をすめけれど置いて行かれてしまって。不安。そしたらやっぱり、ママのいる所に、自分の家に、帰りたくなる。やっぱり、子ども。

 全部を通して、大人になりかけてるけれど大人じゃない、そんな子どもたちのさ迷う心を描いてる短編集。子どもならではの、残酷さ。怖くないけど、怖い本。

レビュー投稿日
2012年12月12日
読了日
2012年10月31日
本棚登録日
2012年12月12日
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