全四巻いっき読み。瀬戸内の青島に突如落とされる「蜘蛛の糸」と言われる正体不明の敵からの攻撃。もう五年も人間は戦争を続けていて、この田舎の島でも、金曜日には中学生の彼らも一日づつランダムに戦場に行くことになった。
毎週訪れる軍国調ではないけど、当たり前のようにお国に命を捧げる生徒たち。やがて、次第と歯が抜けるように級友たちがなくなってゆく。
全体の世界観に、どうしても不自然さが目立つ。最後の方の展開で「彼ら」が残るわけだが絶対生活していけない。ラストは相当無理しないとやっていけない。また、そこに至るまでの大人の対応がおかしい。また、敵の論理も破綻している。
ということをおいといて、2014年6月号「ヤングエース」から今年の3月号に至るまで、こういう作品が連載されていたことに驚きを禁じ得ない。優はこれが人生初のオリジナル漫画連載だったらしいが、絵柄は誰かの影響をモロ受けているし、ストーリーは「進撃の巨人」のソフト版のようにさえ感じる。それでも、赤紙到来から出征、戦死、遺族の今後のことなどが、当たり前のように漫画化されている現代という時代を、10年前の私は想像出来ただろうか。2014年連載ということは、戦争法成立以前なのである。作品は決して褒められた出来でない。作者に現代を批判的に観るトータルな世界観があるのかも疑問だ。けれども、漫画は時代のカナリアなのだということをヒシヒシと感じる。カナリアはなぜ自分が炭鉱の奥で死ぬかは知らない。けれども、その存在が我々に未来を知らせてくれる。
2017年4月23日読了
- 感想投稿日 : 2017年4月29日
- 読了日 : 2017年4月29日
- 本棚登録日 : 2017年4月29日
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