モモちゃんとアカネちゃんの本(2)モモちゃんとプー (児童文学創作シリーズ)

著者 :
  • 講談社 (1974年6月26日発売)
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10月9日、朝のラジオ番組で第五福竜丸展示館の学芸員・市田真里さんがお勧めしていたので紐解きました。松谷みよ子さんの本は初めて読みました。

モモちゃんシリーズは、現実の家族と幻想が入り混じったような、不思議な感じがする世界でした。自然溢れる一軒家に、お母さんとお父さんと猫のプーと一緒に住んでいて、3歳から幼稚園年長組までの日常が書かれています。モモちゃん目線で世界を見たら、こんな感じかなぁという「絶妙な描き方」です。最後にはアカネちゃんという妹さんも産まれます。

全部で17篇載っていますが、市田真里さんが紹介したのは、そのうちの一編「クレヨン ドドーン」です。1/4ぐらいに圧縮して紹介します。

モモちゃん(もう直ぐ5歳)が近所のコウちゃんとお絵描きして遊んでいる途中、コウちゃんが「みたいまんががあるんだ」と言ってテレビをつけると、どこもかしこも戦争のことばかり。
いんこが教えてくれました。
「みなみのほうで、せんそうがおこっているんです。とりもどうぶつもめいわくしているんです。なにしろ、にんげんというのは、ほんとにもう‥‥」
「せんそう、モモちゃんちにもくる?」
「かもしれません」
「いや、うちにきたらいや。ねえ、どうしておとなたちはせんそうするの?せんそうなんてやめて、ご本よんだり、絵をかいたりすればいいのに」
「わかった、クレヨンないのよ、きっとー。」
そしてモモちゃんとコウちゃんは戦場にワープして、大砲にクレヨンと画用紙を詰めて、ドドーン!兵隊さんたちは、喜んでみんな絵を描き始めました。
‥‥でもこれは、やっぱりいつもの夢の中の出来事でした。
家に帰ってモモちゃんはお母さんに聞きます。
「ママ、せんそうどうした?おしまいになった?」
テレビでは(まるで今のウクライナみたいに)戦争のことばかり。
「せんそうしてるよ、まだしてるよ、せんそうやめえっていったのに」「クレヨンあげたのに」そう言ってぽろぽろ涙をこぼすモモちゃん。
「ねえ、せんそう、どこまでくるの?えきまでくるの?がどのおかしやさんまでくるの?おうちまでくるの?モモちゃん、こわいよ」
「きませんよ。あのせんそうはとおいところなの。でももしそばまできたら、ママが、だめ!っておこるから、ね」
最後の言葉は流石松谷みよ子さんです。普通のお母さんは、その手前で何とか慰めようとするのではないでしょうか?ところが、モモちゃんは、ここで満足しません。ここがモモちゃんの凄いところだと市田真里さんが言っていました。
「でも、どこかでしているんだよ、それなのに、だめ!ってママいわないの?はやくいわないと、みんな死んじゃうよ」
ママの膝でモモちゃんは、いつまでもしゃくりあげていました。

ラジオを聴きながら、背中がぞくりと震える気分を味わいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ま行 フィクション
感想投稿日 : 2022年10月26日
読了日 : 2022年10月26日
本棚登録日 : 2022年10月26日

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