人間失格 (新潮文庫)

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本棚登録 : 15902
レビュー : 1939
著者 :
kuma0504さん な行 フィクション    読み終わった 

2014年の新潮文庫プレミアムカバーの黒い表紙をふと手に取って読み始めた。きっかけはたわいの無いものだ。先日マンガ大賞を受賞した「響 小説家になる方法」の冒頭で、太宰治の名前が出て来たからである。文芸部の若い編集者が呟く。「世界を変えるような新人が出てこないかしら。太宰治のような‥」と。確かに、純文学の世界はずっと右肩下がりで、なおかつ出版不況で行き止りだ。彼女の嘆きもわからないではない。けれども、それが太宰治なのか?と、私はその時に正直思ったのである。それで3年前に買って積ん読状態だったこの本に手を伸ばした。

文体は今読んでも新鮮だ。短い文で、リズムを作る。私の文章もつい短くなる。既読だと思っていた。初読だった。自伝かもしれない。そうでない、かもしれない。主人公は最近のテレビドラマの主人公が悩むようなことを悩む。だから、今でもテレビドラマに影響をあたえているという意味で、影響力は絶大なのかもしれない。

けれども、私は流石に歳をとった。太宰かぶれなどにはなるはずがない。ホント自死したコイツの悩みとか、「惚れられる」運命にあるオトコへの嫉妬とか、戦前の共産主義運動のこととか、すべてがまるで台詞のようだ。すべてが私の周りを廻って過ぎて行った。

世界は描かれていない。1人の寂しいオトコが描かれている。まるでテレビドラマのように。

若い漫画家に言いたい。早く、出来るだけ早く卒業しなよ、と。

2017年4月25日読了

レビュー投稿日
2017年4月28日
読了日
2019年3月28日
本棚登録日
2017年4月28日
5
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