日本の聖なる石を訪ねて――知られざるパワー・ストーン300カ所(祥伝社新書252))

著者 :
  • 祥伝社 (2011年10月5日発売)
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感想 : 6
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歳をとると本を読まなくなると私より歳をとった人はいう。
基本的には、そういう人は若いころより本なんか読んでいない。
そういう人は、現在の人間関係に満足しているのだろうと思っている。
私が本を読む理由の一つの答えがこの本にある。
おそらく普通の感性の人間には全く理解できないことだろう。

著者は、「石の語りべ」として全国の石の写真を撮っている写真家である。
正直にいえば、石の写真なんかとって何が楽しいのかと思う。帯には「なぜ、日本人は、石に惹かれてきたのか?」とある。私は石になんて全く惹かれない。確かに、この本の最後の章の306箇所のリストは、圧巻であり、そのうちのいくつかは訪れたことはあるが、これといった感想はない。「大きいなー」ぐらいにしか思わない。しかし、著者が感じたことと同じかどうかはわからないが、純粋に、「なぜ注連縄(しめなわ)をしている?」と思った。この「なぜ」に意味がある。
私の琴線には触れないが、この「聖地」に何かを感じる人が居て、そしてそれを守ろうとする人が居る。これは、一つの物語である。
どうしてこの巨石は割れているのか?どういう理由でこの石は天に向かい立っているのか?なぜこれほどの巨石がこんなに丸いのか?
自然界に屹立している「存在」そのものに対して、素朴に感じる心が、人によって物語化され、聖地化され、保護され、愛でられ、祭られるのだ。
この本は決して面白いとは思わない。思想や思考があるとはとても思わない。それでも、一人の人間が愛したものを、正に変態的に愛したものを知れる喜びは、私が求めている「知の欲求」を満たしてくれる。本というものはそういう出会いの場でもあり、私が本を愛する理由はここにあるということなのだろう。
加工されたものではなく、自然のままの石とだれも来歴を知らない歴史を失った鳥居の存在は日本の根底にある文化を感じさせるには十分なモニュメントである。
世界の見方を変える本は思想が専売特許ではない。
島巡りの他にまた趣味ができそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・地理
感想投稿日 : 2011年11月7日
読了日 : 2011年11月7日
本棚登録日 : 2011年11月11日

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