塩野七生さんの”レパントの海戦”を読むための副読本として購入しました。
前半は、レパントの海戦に至るまでのヴェネツィア共和国のガレー船についてに書かれています。
地中海交易を支配したヴェネツィア共和国の屋台骨であった海軍の中核をなすガレー船団、それは、レパントのの海戦において黄金時代の頂点を迎え、その後衰退してゆく。
そのドラマが、レパントの海戦をクライマックスとして語られています
ヴェネツィア共和国のガレー船団の強みは、自国の自由民が漕ぎ手の中核をなしてい為と思っていましたが、レパントの海戦の時代16世紀の後半には、手工業の発展により漕ぎ手になる国民が激減し、貧者、浮浪者、移民が仕方なく行う仕事もしくは犯罪者が釈放の条件としてやる仕事のなっていた事を知り驚きました。
後半は、17世紀フランスのガレー船について語られていますが、こちらはもう完全に犯罪者の刑罰であり、ガレー船徒刑囚の話がメインです。こちらの話は、悲惨で残酷なこの刑罰の生々しい実態が、この刑罰を実際に体験したジャン・マルテーユの体験談の引用で描写され、読んでいて気が滅入ってくるほどでした。
非常にカラフルで当時の雰囲気を伝えてくれるイラストが多数使われており、巻末の資料編では、ガレー船に関する様々な資料が読みやすい形でまとめられていて読んでいて非常に興味深かったです。
歴史に興味のある方にとっては良書ではないかと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
西洋史
- 感想投稿日 : 2015年2月7日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年2月7日
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