ミーナの行進

著者 :
  • 中央公論新社 (2006年4月22日発売)
3.83
  • (287)
  • (302)
  • (394)
  • (21)
  • (8)
本棚登録 : 1924
感想 : 378
5

従兄弟のミーナの住む芦屋の家に、居候することになった主人公の朋子。10代の女の子2人の交流と成長を描いているのですが、芦屋の家に住む人たちの、お互いを思いやる温かい空気に包まれた物語です。

ミーナと朋子の2人がはまる、男子バレーボール。舞台は1972年ミュンヘンオリンピックです。
喘息もちで身体の弱いミーナの、空想バレーでは、憧れのセッター猫田選手の美しくて謙虚な動き、バレーボールの奥深い魅力が、小川さんならでは、美しく表現されています。
そしてドイツ人のローザおばあさんが、主人公朋子の名前に使われている「朋」の漢字について語る台詞が印象的。
「同じ大きさで、上と下じゃない。横に並んでる。そこがいいのね。平等なの。一人ぼっちじゃないの」

芦屋の家で暮らす人たちの、お互いを思いやる優しさやあたたかさが、静かに心に響く一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小川洋子
感想投稿日 : 2012年11月27日
読了日 : 2012年11月27日
本棚登録日 : 2012年11月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする