きみの体は何者か ――なぜ思い通りにならないのか? (ちくまQブックス)

著者 :
  • 筑摩書房 (2021年9月17日発売)
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本棚登録 : 318
感想 : 26
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伊藤亜紗さんは注目している書き手で、ずっと読みたいと思っていながら機会を逸していたのだが、ちくまQブックスで出たので、これならすぐ読めると思い読んでみた。
ほんとにすぐ読めた。
タイトルと今までの著作から、思い通りにならない体について書かれた本だろうと思ったのだが、それは外れてはいないが当たったというほどでもないというか…。
このQブックスのシリーズは、プリマ―新書では難しい層(主に中学生)をターゲットにし、読みやすくわかりやすく文字数も少なくなっているので、それが書き手には制限となっている部分はあると思う。
思うこととは違う体の動き全般を語るには文字数が足りないので、著者が当事者である吃音に絞られて書いてある。そこがタイトルから私がイメージした内容には足りない感じがしてしまった。
読んでないので恐縮ですが『どもる体』を中学生向けにリライトした感じなのではないだろうか。
この本でも吃音について教えられることは多かったのだが、もっと詳しく知りたいと思った。
しかし初めて知ったことも多かった。
例えば連発について「てててててがみ」と言う時、吃音でないひとは「て」が言いにくいんだな、と考えるが、「て」は出ているから問題ない、「て」から「が」に行く行き方がわからないのだ、「てんぷら」なら言えたりする(P39)というところなどなるほど、そうだったのか、と。

思うようにはならない体を受け入れようというメッセージも良かったが、メタファーは中学生にはわかりにくいかな、と思ったし、わかったとしても「可能な限りきみの実感に忠実」な「しっくりくるメタファーをさがす」(p85)のは、難しいと思う。相当な言語的センスが必要。まあ、書いてある「果汁たっぷりのゼリーのふたを汁がこぼれないようにそうっとあける」というのを使わせてもらってもいいんだろうけど、それは自分の実感に忠実ではないと思う人もいるかもしれないしなあ。

でも、吃音の人の実感や、そのしくみを中学生にわかりやすく書いた本は少ないから、これはこれで良いと思う。大人は『どもる体』を読む方がいいかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月31日
読了日 : 2021年10月31日
本棚登録日 : 2021年10月31日

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