ハーレムの闘う本屋

4.19
  • (21)
  • (13)
  • (6)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 216
レビュー : 29
kuritanuさん  未設定  読み終わった 

こういう本を読書感想文の課題図書にするのはいいことだと思う。
この大きさと内容の見た目では、今どきの日本の若者が進んで読もうとすることはなさそうだから。
(この大きさで、イラストも写真も入って1800円に抑えられたのは、もしかして早くから課題図書になることが決まっていたのではないかと思ってしまうが。)

公民権運動やアメリカの黒人文学に詳しければ、より興味深く読めるが、知らなくても面白く読めるし、読めば知識も得られる。キング牧師は日本でも子供向けの本が多く出ているが、マルコムXに関しては少ないので、当時の二人の立ち位置がわかり、支持する人たちの熱気が伝わるのもいい。
挿絵はベン・シャーン風でしゃれているし、FBIの文書や新聞、広告や遺言書などを入れつつ、様々な人物の証言で物語を構成するのもユニークだと思う。(この証言に架空の人物やフィクションが混じっているため、この本は小説の扱いとなっている。)

あえて欠点を言うなら、持って読むには重い。
黒人が書いた文学を読んだことのある日本の中高生は少ないので、いまひとつ「ああ、あの作家が、詩人が!」という感慨を持てない。(トニ・モリスンが一番今手に入りやすいとは思うが、一般的な中高生が気軽に読めるようなものではない。)
この本自体が、公民権運動を歴史で学ぶアメリカの若者向けなので、ある程度知っていることを前提に書かれており、全く知識のない者にはわかりにくい部分もある。
最後に注釈があるのに、本文に印がついていない。
戦争のことにほとんど触れていない。(日本にとっては本土の一般人も攻撃された、たいへんな戦争だったけど、アメリカ本土の人たちはごく普通に生活していたのだろうか?黒人も徴兵されて戦死した者もいただろうに。)

まあ、それでも、読む価値のある本。
犯罪を犯したり、片目を失ったりなどの紆余曲折を経て、ルイス・ミショーが本屋を開いたのは40過ぎてから、というのは、大人にも勇気を与える。

レビュー投稿日
2017年6月12日
読了日
2017年6月11日
本棚登録日
2017年6月11日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『ハーレムの闘う本屋』のレビューをもっとみる

『ハーレムの闘う本屋』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『ハーレムの闘う本屋』にkuritanuさんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする